しかくいバターはすぐ溶ける

5月。家に引きこもるようになって、あっという間に1ヶ月がたった。

毎日ぬるりぬるりと時間が過ぎていく。飽きたとかつまらないとかはもちろんだけど、約束ができないことがこんなに精神をえぐるものだとは思わなかった。

 

明日もひとつ、予定していたコンサートがなくなった。一階席のけっこういいところが当たっていたんだけどな。一緒にいく予定だった人と「また今度だね」と笑いながら、「今度っていつなんだろうね」とは言わなかった。そんなことを話してもキリがないから。

オンラインのみはたのしい。ちょこちょこ乱入がある画面の向こうの家族やペットに癒されるし、お店で飲むよりだんぜんコスパもいい。でも、会ってるのに会いたいな、と思う。ちいさな相づちとか、自分は吸わないタバコの匂いとか、全然好きじゃない帰りの終電の空気とか、そんなものがぜんぶ懐かしくなる。

 

今朝、ほんとうはすでにみんな死んでしまって、世界にわたしだけ取り残されていたという安っぽい映画みたいな夢を見た。よく考えてみればとんでもなくずさんな作りだったのに(引っ越す前の部屋に住んでいたり、小学校の友だちと大学の友だちに面識があったり)、夢の中のわたしはすっかりそれを信じていて、目が覚めてからもすこし混乱していた。意味もなく友だちにラインを送るなんて、わたしこんなキャラじゃなかったのにな。頭がしっかりしてから、すこし笑った。

 

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ホットケーキミックスがめちゃくちゃ高値で転売されているらしい。ホ〜と思いながらコンビニに公共料金を払いにいったら普通に売っていて、思わず買ってしまった。実家にいるときはよくホットプレートで焼いたもんな、とウキウキ家に帰って、ここは実家ではないことを思い出す。(ホットプレートがない。)

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フライパンでいけるか!?とハラハラしながら焼いてみたら、案外まるっときれいに焼けた。しかくいバターをのせる瞬間がいちばんわくわくした。2枚食べてお腹がいっぱいになって、ラップに包んで冷凍庫に入れた。今日、残りを朝と昼に食べた。昨日の方がおいしかった。

 

 


現像を忘れた記憶 思い出すことがこわくて笑って暮らす