初夢は覚えていない

最近、寒すぎて目が覚めることが多い。夜ねむるときにしっかりくるまったはずの掛け布団が、朝になると丸ごとベッドの下に落ちてしまっているからである。こんなに寒いのに、寝ているときの自分がどうして掛け布団と決別しようと思ったのか理解できない。寝相はそこまで悪くないと思っていたけれど、寝相の終着点がはじまりの姿勢と同じなだけで、その過程は案外ヤバいのかもしれない。寝ている自分(というか意識を手放した自分)はもはや自分ではないので、どうにもしようがないのだが。

 

今日は、「もし雪が降ったら在宅勤務です」というホワホワな勤務体制を言い渡されていた日だった。
(これだけ寒いということは!)と、ヒーターをつけるよりも早くカーテンを開けたが、見える景色に大きな変化はなかった。ということは出勤か。すこし落胆しつつも、まあそうだろうなと思ってもいたので、のそのそ布団から這い出して準備をはじめた。(これだけで自分偉いですね点満点です。朝布団から出るということがどれだけ大きな功績か、みんなもっと評価したほうがいい)

 

緊急事態宣言が出されたあとも、わたしの会社の勤務体制は変わっていない。4月のときは在宅になったので、べつに出社しないとこなせない業務というわけではないが、諸々の理由で切り替えはしない方針なんだそうだ。ぴらぴらの平社員だから大きな声で文句は言えないが、なんだかなあ、とモヤモヤ考えている。出勤の電車も、あまり人が減ったとは思えない。

 

非日常が日常になって、今までの当たり前が当たり前ではなくなって、それでも現状を維持し続けようとするわたしたちは愚かなのだろうか。外に出るな、自粛しろと言われているのに、わたしはあしたも電車に乗って会社に行く。これは裏切りなのだろうか。糾弾される行いになるのだろうか。

 

ベッドに入って丸くなって、あした目が覚めたとき、この掛け布団はちゃんとわたしを包んだままでいてくれますようにと祈りながらまぶたを閉じる。おやすみなさい、いい夢を。