歯列矯正日記

矯正器具を歯に装着して、約三週間が過ぎた。

 

装着初日、「こんなに痛くてつらいの本当にむり、マジでむり」と泣きそうになりながら痛み止めを飲んで布団に潜り込んでいたのに、人間の慣れとは本当にすごい。さすがに同僚がお土産でくれた信玄餅は食べられなかったけれど(器具が取れてしまう恐れがあるので、餅やガム、グミなどくっつくものや、おせんべいやなんこつなど硬いものは食べられない)、一週間も経てば通常営業の生活に戻った。「おしゃかな!!!」と言いながら手を振る遊びにもあっというまに飽きた。

?と思った方は『ファインディング・ニモ』を観てください。

 

歯列矯正をしようと決めたのは、今年の1月。年末年始、実家に帰省して1年ぶりに顔を合わせた母に「ちょっと口歪んでない?」と言われたことがきっかけだった。

もともと顔の右側のほうが発達(という言い方がただしいのかわからないけど、右まぶたのほうが線が濃かったり右のほっぺのほうがキュッと上がったり)していたけれど、わざわざ言われるほど口が歪んでいたとは。ちょうど親知らずを今後どうするか悩んでもいたので、東京に戻ってすぐに矯正歯科に連絡をして、カウンセリングの予約をとった。

ただ、カウンセリングに行けばすぐに矯正がはじまると思っていたけれど、そうではなかった。

 

①いくつか質問に答えて(歯磨きの頻度から生活習慣までかなりの数の質問をされる)、なぜ矯正の必要があると思ったのかを聞かれ、

③歯のレントゲンと型を取って、

③後日、その型をもとにつくられた模型を見て、どのように矯正していくのがベストなのか先生が考えてくれたあと、

④あらためて「矯正するならばこうこうこういう手順でこれくらいの時間がかかります。費用はこれくらいです」という具体を提示されて、

OKでっせと言えば晴れて治療がはじまる

 

――という流れで、治療決定までに一ヶ月弱の期間を要した。

 

しかもわたしの場合、先にもちらっと言った親知らずのトラップにくわえ、先天性欠損歯というややレアなオプショントラップがあった。

 

先天性欠損歯生まれつき永久歯がないこと。存在しない歯に名前がついていてかなり面白い。わたしには上下1本ずつこの先天性欠損歯がいた(実際はいないんですけどね)ゆえに、口内に2本の乳歯が残っていた。乳歯だったことで困ったことは一度もないが、この2本はもともとの乳歯の寿命をかるく倍以上超えているわけで、歯の根っこはもはやないに等しかった。レントゲンを見た先生が「動揺が見られないのが奇跡だよ」と言って笑ったので、わたしは「歯がぐらぐらすることを動揺と呼ぶの面白いですね」と言った。

 

と、まあそういった理由で現在わたしの口内にいる乳歯にはほぼ根っこがないため、現時点での動揺は見られずとも、一生そのまま残ってくれる可能性は限りなくゼロに近いとのことだった。かつ、矯正器具をつけてワイヤーで引っ張れば、おのずと抜けてしまうだろうと。なるほどね。カウンセリングの段階では、親知らずと乳歯2本は先に抜歯して、矯正で残りの歯を動かし空いたスペースを埋めようという計画だったが、あらためて口内をよくよく見ると、先天性欠損歯の生えている(実際には生えていない)位置が超微妙で、空いたスペースを埋めるために他の歯を動かそうとすると逆に歯並びがガタガタになってしまうおそれがあるらしい。結局、空いたスペースには、矯正終了後、それぞれインプラントを入れることになった。矯正費用+インプラント×2本分の費用。予算を軽く大幅にオーバーしてきて、若干くらくらした。

でもわたしの場合、矯正と言っても歯並びを治す必要はなくかみ合わせ調整になる&美容目的ではない&先天性欠損歯がある(実際にはない)ことから、矯正もインプラントも医療控除の適応になるっぽい。神。全然わかんないけどやりかたを歯科衛生士の方がとても丁寧に教えてくれて助かる。ありがとうございます……

 

カウンセリングに行ったのが1月の中旬、そこからなんやかんや先生からの話を受けて、矯正手順が決定したのが3月の頭だった。

オシ、いろいろ承知したぜ!よろしく頼みますぜ!と言ったはいいものの、先生から返ってきたのは「はい、じゃあまずは親知らず2本+乳歯を抜いてきてね」。わ、わかりました!工程長~~~~!!

 

わたしが通う矯正歯科は矯正専門なので抜歯はできず、それ専門の別の歯医者に行かないといけなかった。とにかくはやく進めたかったから、その日のうちに矯正の先生から紹介してもらった歯医者さんに電話して、抜歯の予約。が、最短で4月に入ってからじゃないと空きがなく、しかも親知らずは抜いた翌日にも病院に経過を見せに行かなくてはいけないため土日はNG、さらに1本抜いたらもう1本を抜くために2週間間を開けねばならず、と縛りががちがちにキツイ七並べみたいな制約があって、両方の親知らず+乳歯1本を抜き終わったのは5月の半ばを過ぎた頃だった。(もうひとつの乳歯はあまりにも前のほうの歯なので、歯抜け具合が気になっていったん抜かずに器具をつけてもらうことにした。現時点でやや動揺が見られます。歯抜けになる日も近い)

 

さまざまな工程をすべてクリアして、なんとか抜くべき歯を抜き、ようやく矯正器具がついたのが61日。年明けてすぐ決断したのに、スタートラインに立つまで半年かかりましたよ……。途中でめげなかっただけでも頑張ったねって感じ………(途中から諦めたらそこで試合終了ですよモードだった。ふつうに仕事バチバチにいそがしい中で平日にぜんぶやらないといけないの、会社員にはしんどい)

ただ、器具さえ付いちゃえばこっちのもんっしょ、と思ったけど、いやもう器具付いた瞬間から痛くて痛くてすぐさま全部とって!って泣きつきたくなった。27歳だから泣かなかったけど。

よくよく思い返せば、ぶっちゃけ器具装着前の歯の隙間を広げるために青ゴムというものを詰めたときがいちばん痛かった気がする。(ちょうどそのタイミングで文フリだったので、打ち上げわっしょいのときにずっと「歯痛い」って言っててごめん)

 

とはいえ、冒頭で述べたとおり、3日も経てば痛みもなくなって、装置の違和感にもけろりと順応しました。

歯磨きの手間がそこそこ増えたけど、もともと歯磨きは好きなほうなのでそんなに辛くない(朝、毎食後、寝る前で少なくとも15回は磨いてました。ただ1回の歯磨きに15分近くかかるので、考えてみると1日平均75分歯磨いてるんだ……ウケる)。むしろ達成感みたいなものがすごい。

 

 

月イチで装置の調整を行うので、ゆるゆる記録を付けておこうかな~と書き留めてみました。

あまりにも個人的な口内の事情を読んでくれてありがとうございました。

健康的な歯ライフを送りましょうね~~矯正の先人たちいたら情報交換しよ~~