グッバイ、シャルムメゾン

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3年半住んだ部屋から引っ越しをした。

先週末、ようやくすべての手続きと荷解きを終え、あたらしい家具のセッティングも済ませたから、ついに全引っ越し工程を終えた、と表現していいと思う。(つまり完了まで約1ヶ月を要しました)

 

単純にやらねばいけないことが多かったというのもあるけれど、今回の引っ越しには体力はもちろん、それ以上に精神力を持っていかれた。ふつうにひとりぼっちだったら耐えられなかったと思う。よく頑張ったねえ自分!よりも、マジありがとうまわりの人々、って感じ。

 

次回の引っ越し(今はまったく考えたくもないけれど)のために、記憶があたらしいうちにいろいろと書き記しておこうと思います。

 

引っ越しを決めたのは6月初旬。

本棚に入り切らない本の量がとうとうそもそもの本棚のキャパまでを超え、ふたりぐらしの2DKに限界を感じ始めた頃だった。そろそろあたらしい家を探してもいいんじゃないかしら、という気持ちでともに暮らす相棒(便宜上そう呼ぶ)にそれとなく引っ越しの提案をしたら、わたし以上に乗り気になり、その週末、ふたりでさっそく不動産屋に足を運ぶことになった。

 

物件探しの条件は、以下の3つ。

・間取りは2LDK以上(リビングにソファを置いてだら〜っとテレビを見るやつがやりたい&個人の部屋必須)
・洗濯機置場がある(前の家はベランダに洗濯機を置いていた。夜洗濯できないのつらかったし冬は死んでた)
・最寄り駅からの距離は徒歩10分圏内(ギリギリでいつも生きていたいから)

 

担当のNさんは、わたしたちの条件と予算を照らし合わせ、20軒ちかく候補の物件をあげてくれた。「女性ふたりが暮らすならこういうところは避けたほうがいいかもしれません」「このあたりは治安いいです」などなど耳寄りトピックスも教えてくれる、人の良さそうなほんわかした人。結局その日はNさんが提案してくれた3軒へ内見に行き、どの家もとてもよかったので、翌日すぐ、そのうちの1軒で入居申し込みをした。

 

Nさんからは、さっそく「入居審査に必要な諸々をください」とメールが届いた。その日のうちに資料も揃えて返信したら、翌日「申込みを済ませました。審査の結果がわかり次第ご連絡しますね」と応答。そのあと続けて「よっぽどのことがないかぎり審査は大丈夫だと思います。ただ、入居する場合は7月分まるっと家賃を払っていただかないといけないので、鍵の受け渡しは6月30日にさせてください」という連絡がきた。6月30日まではあと2週間もなく、まだその当時住んでいた家の解約手続きなどもなにもしていなかったから、そうすると2週間ちかく家賃を二重で払うことになるな……とやや「ム」と思ったが、まあそうよね、貸す側からしたらはやく賃料ほしいよね、と納得し、「わかりました」と答えた。荷物もたくさんあるからゆっくり運べばいいよね。そうだね、そうしよう。相棒ともそう話して、すこし重複する家賃も引っ越し代と考えることにした。

 

それから一週間経った。Nさんからの音沙汰はない。

審査は長くて3日くらいだった気がするんだけどな……(引っ越しを二度経験しています)と、しびれを切らしてメール。翌日、「管理会社せかしてます」という返信のあと、すぐに電話がかかってきた。

 

Nさん「保証会社から電話ってかかってきましたか?」
わたし「? いえ、かかってきていません」
Nさん「あ〜それは……じゃあたぶん審査に落ちてしまったってことだと思います」

 

たぶん審査に落ちてしまったってことだと思います!??!?

 

そりゃ審査するくらいだから落ちることがあるのは重々承知だけれども、よっぽどのことがない限り大丈夫って言ったじゃん! いやよっぽどのことがあったのかもしれないけど、それなら危なそうだということを教えてほしかった。こちとらすでに今の家の解約手続きを済ませてしまっているし、この時点で解約まで二週間弱しかなかった。

 

※ここらでこんがらがってきたと思うので、時系列を説明します。

6/12 内見
6/13 申し込み依頼
6/14 審査申し込み(→ここで6/30までに入居してねと言われ、了承)
6/16 今の家の退去手続き(→6/15は不動産屋が休みだったので翌日に手続きした。7/16に退去することが確定)
6/21 審査の結果来ずこちらから連絡
6/23 「たぶん審査に落ちてしまったってことだと思います」

 

どどどど〜したらいいの???

今の家には7月16日までしか住めないんですけど?????

その混乱をNさんに伝えるも、「いや〜……他の物件探し、お手伝いします」しか答えてくれない。けれども、わたしと相棒はそのあとなかなか予定が詰まっていて、ふたりでまた内見に行けるのは7月9日しかなかった。いや、そこから家決めて16日までに引っ越し完了することなんてできるんか?

 

とりあえず仕事中だったので(本当に仕事して)、いったん電話を切った。この時点で、Nさんへの信用はかなり落ちていた。「審査落ちました」という連絡がNさんから来たならまだしも、「保証会社からの電話の有無で審査落ちの結果を決める」(しかも不動産屋が)なんてことある?という不信感。なんとなく、もういちど某物件サイトでたった今わたしが審査に落ちた物件を検索してみた。ヒット。部屋番号まで同じ物件が、まだ空き物件として出ている。そこに書いてある問い合わせ先の電話番号はNさんの不動産屋とは違う不動産屋だったので、もしかしたらルール違反なのかもしれんなと思いながら、素知らぬ顔でその番号に電話をかけた。

 

不動産屋「はい、◯◯不動産です」
わたし「もしもし、突然すみません。●●(審査落ちたよって言われた物件)って今まだ空いていますか……?」
不動産屋「あ〜すみません、そこ、昨日の夕方申込みが入ってしまって今審査中なんですよ〜」

 

ほほう……? つまりわたしは昨日の夕方時点ですでに審査に落ちていたということなんだろうか(それなら昨日教えてくれよ)。一度審査に落ちた人間が違うルートでもういちど同じ物件に申し込みをする、という諦めの悪い元カレみたいな行動を取っていることに全力でお詫びしながら、「実は6/14にそちらの物件に入居申し込みをしたのち審査に落ちたと連絡を受けた者なのだが、その対応をしてくれた不動産屋さんがどうにもちょっと信用できず、改めて連絡をしてしまった。昨日の夕方に申込みをした方がいるということは、わたしはその時点で審査落ちしていたのか?」という内容を超丁寧に説明してみた。電話口のお姉さんは、「な、なるほど…?」みたいな明らかになるほどじゃないなるほどな返事をしてくれて(そらそう)、「一度営業担当に確認して折り返します」と言って電話を切った。

 

ああ、諦めの悪い元カレ(前述)みたいな手段取ってしまった……これで普通に「そっすね、昨日落ちてますよ」と言われたらもう頑張って新しい物件を探すしかないなと思っていたところ、その不動産屋さんからすぐに折り返しが来た。

 

不動産屋「もしもし、先ほどご連絡受けた◯◯不動産の営業担当、Sと申しますが、◆◆(わたしの苗字)さんのお電話でお間違い無いですか?」
わたし「間違いないです……すみません本当にわけわからない問い合わせを……」
Sさん「とんでもないです〜」
わたし「(やさしい)」
Sさん「あの、お問い合わせいただいていた件なんですけど……●●(審査落ちたよって言われた物件)への申し込み履歴を調べたんですが、◆◆さんのお名前で6/14でのお申込みというのは……その、ないんですよね」
わたし「え?」
Sさん「ですから、そもそも◆◆さんのお名前で申し込みをした、という内容自体が存在していないんです」
わたし「え!」
Sさん「なので、審査に落ちたとか落ちないとかではなく、申し込み自体されていない、というのが実状かな〜と……」
わたし「え〜〜!!」

 

えっ何、じゃあわたし今、申し込みすらしていなかった物件に申し込みしてたんですけどっていきなり言い出して問い合わせしてきたヤバい人間になってるってこと?

それってつまり、付き合ってもなかった人に付き合ってたよねって言ってるような人間になってるってこと!?!?(たぶんかなり違う)

 

タジタジになりながら、「でも申し込みしたんだもん……」を超丁寧な言葉で繰り返す。今すごいメイちゃんの気持ちがわかる。

でも、Sさんは本当にいい人で、わたしの話す支離滅裂な事情を信じてくれた。そして。

 

Sさん「あの、大変言いづらいんですが……おそらく前の不動産屋の担当者の方がテキトーに仕事したっていう……ことだと思います…………」

 

全部の辻褄が合ってしまった瞬間だった。

ああ、そうなんだ。ちょっと心の片隅にあったけどやっぱりそういうことなんだ〜〜!!!

 

これは想像だが、シンプルに申し込みし忘れて、そのあとに他の人が申し込みをしてしまったから言いづらくて審査に落ちたことにしたんだと思う、というのがSさんの見解だった。はあ、さいですか。Nさん、あなたが元凶でしたか。

 

内見のときめちゃくちゃいい人だったのにな、という悲しい気持ちがこみ上げてくる。ただ、後出しジャンケンみたいな言い訳になるけれど、実は要所要所でNさんへの不安な箇所はあったのだ。申し込みの詳細を伝えてもらう際、「●時に電話しますね!」と言われたのにその時間に電話がかかってこなかったり(こちらから連絡してもつながらず、メールを送ったら「すみません、忘れてました(笑)」みたいなテンションだった)、申し込みに必要な書類一式これです、の連絡のあとに「あ、これもでした!」「これも必要でした!」みたいな五月雨連絡をしてきたり……。

 

と、現状への納得はできたけれど、もうすでに別の方が申し込みしているところに割り込むなんてことはできなかった。当たり前だ。では、と電話を切ろうとしたところで、Sさんが言った。「今お申し込みしている方が審査に落ちた場合、ということにはなってしまいますが、◆◆さん第二希望で審査出せるようにしておきましょうか。並行して物件探しもお手伝いします」。

 

捨てる神あれば拾う神あり!!!(使い方たぶん違う)

Sさんが神様に見えて、ぜひ、とお願いした。7月16日には今の家を出ないといけないことまで話していたから、同情してくれたところもあるんだと思う。実際、かなり絶望していたので、初対面(対面すらしてない電話越し)にもかかわらず悲しい声色でいろいろ話し込んでしまっていた。

 

「では、その前の不動産屋に送った内容と同じでかまいませんので、申し込みに必要なあれこれを送ってください。このあとお電話番号宛にショートメッセージで送付先を送ります」。

Sさんへの絶大なる感謝の気持ちを込めながら、送ってもらった連絡先に申し込み書類を一式送付し、申し込み第2候補として割り込ませてもらった。Nさんと比べ物にならない速さで返信が来て、とんとんと申し込みの準備が進んだ(実はここで、書類の不備がバラバラと3つくらい出てきた)(そもそも提出を求められていなかったものなので準備しておらず、あわててかき集めた)(あ〜こりゃもう絶対にNさん申し込みしてませんわ)。

 

結果として、前に申し込んでいた人が審査に落ちてわたしが繰り上げとなり、無事その物件に引っ越すことができたのだが………いやあ、そこまでがあまりにも長かった。

と、書いていたら文章まで長々してしまったので(4500字ありました。マジ?)、引っ越し業者探し編と引っ越し作業編はいつか別記事に続きます。気が向いたらね。

 

※Nさんの後日談もあるが、これは書くと身バレしそうなので伏せておく。時間経ってそれなりに落ち着いてきたけど当時はかなり怒り心頭でしたよ………。