線香花火

幼馴染から、第二子出産の連絡があった。

母子ともに健康だそうで、まだ本当に真っ赤なままの赤ちゃんと寄り添って笑う彼女の写真が送られてきて微笑む。おめでとう、おつかれさま。ふたりとも健康で本当によかった。そう返事を打てば、「予定日はネネネの誕生日だったのに、ネネネのお姉ちゃんと同じ誕生日になっちゃった。だいぶせっかちな子だった」と返ってきて、ほんとだ、と驚く。

彼女とは、文字通り生まれたときから縁がある。

 

彼女の両親とわたしの父は、かつて同じ会社の同僚だったという。聞けば、わたしのふたつ上の姉は彼女のお父さんに抱っこされたことまであるのだそうだ。彼女の両親は彼女が生まれてすぐに離婚をして、わたしの父はわたしが小学2年生の頃、仕事のストレスで体と心を壊して会社を辞めた。わたしも彼女も、そんな「少し違う」「普通じゃない」家のことをあまり外に話さなかったから、幼稚園からずっと一緒だったのに、お互いの親が同じ会社に勤めていたということを知ったのは高校生になってからだった。彼女が「わたし、父親の顔知らないんだよね」と言ったときの、こぼれそうなほど大きな瞳を覚えている。まじめでしたたかで、線香花火みたいに繊細な女の子だった。

 

10月末、お祝いも兼ねて彼女の実家に行く約束をしている。中学時代、帰り道にいつも蟻の巣をほじくりながら遊んだもうひとりの友達と、3人で。

二度目の出産祝いは何がいいだろう。仕事の合間に頭を悩ませながら、彼女との縁がこれからも続いていくことを、ただただ嬉しく思っている。